宮城県図書館だより「ことばのうみ」第36号 2011年3月発行 テキスト版
おもな記事。
- 巻頭エッセイ 『図書館映画』の秘密 映画監督 阿部 勉さん。
- 特集 図書館サービスをもっと多くの人に。
- 県図トピックス 旬な情報を、fmいずみから。
- 図書館職員から読書のすすめ「空を泳ぐキカイ」。
- 図書館 around the みやぎ シリーズ30回 仙台市広瀬図書館。
- 叡智の杜レポート。
- 図書館からのお知らせ。
巻頭エッセイ 『図書館映画』の秘密 映画監督 阿部 勉。
知らない街に出かけて、ふらっと図書館に足を踏み入れることがある。書架の本を借りて机に座ると、部厚い本を睨んでいる老人や宿題に励む高校生、床に座って絵本に見入る子どもの姿が目に入る。そんな光景を眺めているうちに、物語が浮かんでくることも多い。
図書館の静かな空間は、それぞれが本と向き合う場でありながら、同時にその人の佇まいやちょっとした仕草が、いろいろなことを想像させてくれる。彼らは同じ空間に身を置きながら、物語などという窮屈なものに閉じこめられてはいない。一人ひとりが別のストーリーを生きている。
不謹慎な、と思われるかもしれないが、誰かの姿を見たくて図書館に足を運ぶこともあるのではないか。自動販売機のように無人で本がポンと出て来て、誰もいない閲覧室で本を読むようになったら、人は図書館に通うだろうか。
映画監督たちが好んで映画の中に図書館を登場させるのは、その辺に秘密があるのかもしれない。
(あべ・つとむ 映画監督)。
著者のご紹介。
あべ・つとむ。映画監督。1957年、宮城県出身。東北大学経済学部を卒業後、松竹株式会社に入社。山田洋次監督作品のチーフ助監督を務め、「しあわせ家族計画」(1999年)で監督デビュー。同作で第33回ヒューストン国際映画祭ファミリーチルドレン部門金賞を受賞。最新作の「京都太秦物語」(2010年/山田洋次監督と共同監督)では、大学図書館に勤めるヒロインのラブストーリーを描き、ベルリン国際映画祭や香港国際映画祭などに招待された。他に『落雷』(2002年)、「小津安二郎監督作品 DVD化の軌跡」(2003年)など。
特集 図書館サービスをもっと多くの人に。
宮城県図書館では、図書館や図書館資料をもっと多くの人にご利用いただけるよう、施設設備の整備や資料の充実などのサービスの向上に努めています。
今回の特集では、そのうちいくつかのサービスについてご紹介します。
郵送貸出サービス
来館が困難な方のうち、県内にお住まいで身体障害者手帳、戦傷病手帳、療育手帳、障害者福祉手帳をお持ちの方に、図書館資料を郵送し貸出しするサービスです。図書と視聴覚資料(CD、ビデオテープ、カセットテープ、DVD、楽譜、録音図書(後述))の合わせて10点以内(視聴覚資料は5点以内、ただしその内DVDは1点まで)を、1か月以内で貸出ししています。送料は本館が負担します。
拡大読書器
拡大読書器はいわば「電動虫めがね」です。読みたいページを開いて読書器の所定の位置に置くと、その部分が拡大されてディスプレイに映ります。いくつかの段階から倍率を選ぶことができ、画面の白地が読みにくい場合は黒白反転させて表示することもできます。
視力の弱い方はもちろんですが、辞書などの細かい文字を読む際にも利用できます。
本館3階には計3台(新聞雑誌室、一般図書フロア、みやぎ資料室に各1台)の拡大読書器が設置されています。
大活字本
大活字本は、活字が大きいのが特徴です。ゴシック体と明朝体で書かれたものがありますが、ゴシック体で書かれたものは、明朝体では横の線が極端に細いため、横線が見えず判読しにくい人のための配慮です。字が大きい分ボリュームが増すので、分冊されているものもあります。
拡大読書器同様、視力の弱い方だけでなく、細かい文字を読むのがつらいときにも利用できます。
音訳サービス
目が不自由な方のために、ご希望の資料を音読するサービスです。(1)来館時に直接音訳、(2)来館が困難な方に電話で音訳、(3)個人的にご希望の資料をカセットテープやCD(デイジー図書/後述)に録音するなどのサービスを行っています。図書館所蔵資料はもちろん、お手持ちの電化製品の取扱説明書などもお読みします。
録音図書
主に視覚障害者のために製作された、資料を音声化してカセットテープやCDなどに録音したものを録音図書といいます。
録音図書と一般的な朗読テープ・CDとの違いは、写真やグラフ、同音異義語などについて説明を加える(処理)配慮がされていることです。これまではカセットテープが主流でしたが、1本の録音時間が短いため、長編小説などは10本以上になることもありました。そのほか、カセットデッキへの出し入れが頻繁、郵送時にかさばる、テープが切れるなどの短所をクリアしたものが、デイジー図書です。
こんなサービスをしています
本館では、請求記号にCTSと表記のある録音図書は、視覚障害者だけでなく、「ページをめくれない」など「文字を読むことに障がいがある方(一時的な場合も含む)」にも貸出ししています。
なお、本館に所蔵が無い録音図書については、他の図書館から借り受けて貸出ししています。
デイジー図書
デイジー(Digital Accessible Information System)とは、音声資料、あるいは音声・テキスト・画像などを組み合わせたマルチメディア資料の国際標準規格の名称です。この規格に基づいて製作された録音図書をデイジー図書といいます。
外観は普通のCDですが、CDプレイヤーでは聞けません。再生機か、専用ソフトをインストールしたパソコンで聞けます。
デイジー図書の特色は、(1)容量が大きい(最大45時間)、(2)頭出しが容易(セクションやフレーズという単位で区切られているため)、(3)しおり機能、(4)音声によるガイダンス機能などの、テープ図書を超えたさまざまな機能を持っている点です。これにより、長編の作品や辞書類などのテープ図書には不向きだった資料の製作が可能になり、利便性が高まりました。
こんなサービスをしています
本館では、デイジー図書は所蔵しておりませんが、他の図書館から借り受けて貸出ししています。
バリアフリー上映会
バリアフリーに関するもの、手話で演じられたもの、字幕付きまたは音声ガイドの入った作品を年に3~4回上映して、目や耳の不自由な方にもお楽しみいただける上映会を行なっています。
音声ガイド
セリフの合間や場面転換など、映像本来が持つ音声の隙間に視覚情報を「言葉」に置き換えて、音声で解説(ナレーション)したものです。人物の様子や情景描写などが解説されるので、目の不自由な方でも映像作品を鑑賞しやすくなります。
こんなサービスをしています
本館では、手話で演じられたものや字幕付きまたは音声ガイドの入ったDVDを所蔵し、貸出ししています。
郵送サービスに関するお問い合わせ
利用サービス班 電話番号:022-377-8481/ファクス番号:022-377-8493/Eメール:yuusou@library.pref.miyagi.jp
音訳サービスに関するお問い合わせ
企画協力班 電話番号:022-377-8444/ファクス番号:022-377-8484/Eメール: kikaku@library.pref.miyagi.jp
その他の障がい者サービスに関するお問い合わせ
利用サービス班 電話番号:022-377-8481/ファクス番号:022-377-8493/Eメール: ippan@library.pref.miyagi.jp
県図トピックス 旬な情報を、fmいずみから。
毎月第2木曜日の午前11時10分頃から、fmいずみ(仙台市泉区にあるコミュニティ放送局:周波数79.7MHz)の情報番組「Lady, Go!」内の宮城県図書館のコーナーに職員が出演し、県図書館の様々な情報をお知らせしています。
コーナーの放送時間は約10分。特別展のご案内や各フロア紹介のほか、上映会やおはなし会といった催しものの予定など、県図書館を利用する上で役立つような情報をピックアップして、パーソナリティの方とともにお届けしています。職員は毎月交代で出演しています。
職員だからこそ伝えられる県図書館の「生」の情報を、直接県民の皆さまにお伝えするために、fmいずみのご協力のもとマイクに向かっています。
放送は仙台市泉区を中心とした地域でお聴きいただくことができます。お近くの方は、ぜひ一度お聴きになってみてください。
図書館職員から読書のすすめ 「空を泳ぐキカイ」 企画協力班 塚 啓一
午前8時を少し過ぎ、職場の駐車場で車から降りる。
職員玄関までの50mほどの道のりを半分ほど歩いたところで、そう遠くはない距離からジェットエンジンの吸気音が聞こえ、職場の屋根から飛び出すように白と青に塗り分けられたコンパクトな機体が視界に入り、爆音とともに瞬く間に飛び去っていく…
飛行機マニアが羨むような環境で、眠っていた飛行機好きが目を覚ましました。
思い返せばそれまで何度か飛行機との接点があったにもかかわらず、目覚めることがなかったのはその回数が多くはなかったからかもしれません。
鉄道マニアと同じように、飛行機マニアも「乗る人」と「撮る人」に分類されます。しかし、飛行機の場合はその特性から1回の搭乗に係る費用や撮影機材に係る費用(望遠が必要なため)が鉄道の比ではないため、私は自主規制し、専ら「見る人」を決め込んでいます。
気が向いた時だけ、普段持ち歩いているコンパクトデジカメで撮影する程度で、あとはただひたすら飛行機を眺めます。戦闘機の機能美は言うまでもありませんが、たくさんの人命を預かって運行する旅客機の「重み」もまた魅力にあふれています。
航空機事故に遭遇する確率は自動車のそれよりも格段に低いということはよく言われますが、これは航空機を設計・製造するメーカー、十分な訓練を積んだパイロットのほか、客室乗務員や定期的な点検・修理などを行う整備員、地上スタッフや航空管制官など、たくさんの人の力によって支えられているのです。
今回は戦闘機・旅客機を問わず「飛行機」に関する資料をご紹介します。みなさんの「快適な空の旅」が、より楽しいものになりますように…
こんな本を選びました。
『ファイターパイロットの世界』
村田博生 グランプリ出版 2003年
『飛行機と想像力』
橋爪紳也著 青土社 2004年
『旅客機・空港の謎と不思議。』
谷川一巴著 東京出版社 2005年
図書館 around the みやぎ シリーズ第30回 仙台市広瀬図書館 館長 伊藤 扶佐子
広瀬図書館は、平成3年7月仙台市民図書館の分館として、広瀬文化センター・広瀬市民センターとの複合施設として開館しました。
平成20年4月より、公共図書館としては県内初の指定管理者として丸善株式会社が管理運営を行っています。
ここ宮城地区は、地域開発等で近年急激に人口が増加し、現在は開館当時の約2倍の6万7千人を超えており、利用の方も徐々にではありますが年々増加の傾向にあります。
特色といたしましては、小さいお子さんを連れた若いお父さん、お母さん、また、ご年配の方のご利用の多いことがあげられるかと思います。規模が小さいだけに利用者の方との距離も近く、きめの細かいサービスが求められるところでもあります。一例としまして、聴覚に障害をお持ちの方のご要望で全員が簡単な手話を覚え、ご挨拶程度はいつでもできるようにしています。
主な事業としましては、これまで行ってきた事業を継承しつつ新たな取り組みとして、近くの天文台と連携し、天文台でのお話会や天文台職員の方を講師に「子ども天文教室」を行っています。また、公募で委嘱した近隣の中・高生による選書アドバイザー会議で「決定版オススメ本リスト」を作成、また、地域の歴史を「広瀬図書館だより」として年2回発行し、それに関した「歴史講座」を行っています。夏休みには中学生までを対象に読書スタンプラリーを行い、6回の来館で文具等のプレゼントをし、新規登録者や貸し出し冊数の増加につなげています。「自費出版講座」や「手製本講座」も好評をいただきました。
4月からの5年間も、引き続き丸善株式会社で行わせていただくことになりましたが、開館20周年を迎える今年、職員のスキル向上と同時に、利用者アンケートや利用者懇談会での貴重なご意見・ご要望を参考にこれからも地域に役立つ図書館づくりを目指してまいります。
仙台市広瀬図書館のご紹介。
図書館のデータ。
蔵書冊数:96,850冊(平成21年度末)
貸出冊数:361,364冊(平成21年度)
開館時間:午前10時から午後7時まで(火曜日~金曜日)、 午前10時から午後5時まで(土曜日・日曜日・祝日)
休館日:毎週月曜日、休日の翌日、1月~11月の第4木曜日、年末年始、特別整理期間
交通:仙台市営バス「愛子駅前」下車 徒歩5分、JR「愛子駅」下車 徒歩7分
住所:郵便番号989-3125 仙台市青葉区下愛子字観音堂5
電話番号:022-392-8421 ファクス番号:022-391-6113
ホームページ:http://lib-www.smt.city.sendai.jp/guide/fac_hirose.html
注意:震災の影響で開館時間、休館日が変更になっている場合がございますので、直接お問い合わせください。
叡智の杜レポート。~絵本の楽しさを伝えよう~国民読書年記念「読み聞かせ講座」。
平成22年10月17、24、31日の3日間、国民読書年記念「読み聞かせ講座」を本館ホール養賢堂で実施しました。この講座は、読み聞かせ初心者及びスキルアップ希望者を対象としており、子どもの読書活動の推進と学習機会の提供に資することを目的として開催されました。
講師には、宮城県図書館協議会委員の鵜飼信好氏を迎えました。鵜飼氏は、ご自身でも読み聞かせを実践しておられるほか、ボランティアの育成支援もされています。講座初日は「読み聞かせの基本」と題し、読み聞かせの実践研究や選本のポイント、紙芝居の演じ方等について講義をいただきました。2日目は「読みの大切さ」について、実際に音読の練習(実習)を交えながら、伝わる読みをするための「下読み」の大切さや間の取り方等を学びました。最終日は鵜飼氏らによるお話会の実演を見学した後、受講者一人ひとりが絵本「にじいろのさかな」を用いて音読を行ないました。音読後は鵜飼氏から個別にアドバイスがあり、各々の音読技術の向上に役立てていました。
講座には、図書館や公民館等で読み聞かせをしている職員・ボランティアを中心に、延べ88人の参加がありました。どの受講者も熱心に講義に耳を傾け、活発に質問するなど、受講者の読み聞かせへの熱意が強く感じられる講座となりました。受講者からは「伝わる読みの難しさを感じた」「スキルアップした気がする」「読み聞かせの奥の深さに感動した」といった感想が聞かれました。
図書館からのお知らせ。
重要なお知らせ
本館は3月11日(金曜日)に発生した地震により建物・資料ともに被災し、現在(3月25日)、鋭意復旧作業に努めております。詳細につきましては追って本館ホームページでお知らせします。
- 宮城県図書館ホームページ
URL:http://www.library.pref.miyagi.jp/
注意:5月13日(金曜日)より開館しております。
メールマガジン『ことばのうみ』配信中。 注意:現在メールマガジンは配信しておりません。
宮城県図書館で行う催し物のお知らせや、図書館を使いこなすために役立つ情報などが、毎月1回メールで届きます。メールマガジンを読むためには、メールアドレスの登録が必要です。本館ホームページ内にある「宮城県図書館メールマガジン・ことばのうみ 配信中!」(トップページ→「図書館の情報」→「メールマガジン」
http://www.library.pref.miyagi.jp/about_us/torokumerumaga.html
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お問い合わせ 企画協力班(1階) 電話番号:022-377-8444
Eメール:kikaku@library.pref.miyagi.jp
第42回子どもの本展示会を開催します。
4月23日から5月12日までの約3週間は「こどもの読書週間」です。宮城県図書館では、子どもの読書活動を推進するため、この期間にあわせて「子どもの本展示会」を開催します。昨年出版された本の中から約1,500冊を展示しますので、ぜひご来場ください。
- 期間 6月10日(金曜日)から6月23日(木曜日)まで
- 場所 図書館2階 ホール養賢堂
- お問い合わせ 子ども図書室(2階) 電話番号:022-377-8447
レファ協で検索!
本館のレファレンス事例はホームページや国立国会図書館が運営する「レファレンス協同データベース」で公開しています。「ペットボトルの風車」「バターソース(フランス料理)」など、これまでに約500件の事例を公開し、平成22年度は公開件数と被参照件数で全国17位となり、国立国会図書館より感謝状をいただきました。
「レファレンス協同データベース」には約6万件のレファレンス事例が登録され、様々な課題を持つ方の調べ物の参考となっています。
暮らしのなかの疑問、仕事や趣味に必要なお調べものにご活用ください。
レファレンス協同データベース URL:http://crd.ndl.go.jp/jp/public/
この「ことばのうみ」テキスト版は、音声読み上げに配慮して、内容の一部を修正しています。
特に、句読点は音声読み上げのときの区切りになるため、通常は不要な文末等にも付与しています。
「ことばのうみ」は、宮城県図書館で編集・発行しています。
宮城県図書館だより「ことばのうみ」 第36号 2011年3月発行。